小児のいびき、睡眠時無呼吸症候群
学校での耳鼻咽喉科に関する話題

2012.01.30更新

以下の文章は、院長が大阪市学校保健会発行の「学校保健タイムス」に記事として執筆したものです。

約10%の小児はいびきをかきます。軽いいびきであれば問題ありませんが、激しいいびきをかいたり、睡眠中の呼吸が苦しそうであったりすると睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。この病気は大人のものと思われがちですが、小児の睡眠時無呼吸症候群の有病率は1~3%に達すると概算されています。無呼吸とは息が止まる状態ですが、小児の場合、低呼吸(いびきを伴った不十分な呼吸)が主体になることも少なくありません。

また、大人に比べ昼間の眠気を訴えることが少ないために発見が遅れたり、見過されてしまったりすることも多いようです。原因としては小児では扁桃やアデノイドの肥大、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)など耳鼻咽喉科に関係する病気である場合がほとんどです。特に、扁桃肥大、アデノイド肥大は小児のいびき、睡眠時無呼吸症候群の原因として多いことが知られています。アデノイドは3-6歳、口蓋扁桃は5-7歳で最大となり学童期後半に次第に退縮しますが、個人差があり、成人期まで肥大が持続することもあります。その他、下顎が小さい、後退していることも原因となります。小児期は心身の成長、発達の最も活発な時期のため、この時期に発症する睡眠時無呼吸症候群がこれらに影響を及ぼす可能性も指摘されています。睡眠中の無呼吸・低呼吸は低酸素が何度も訪れるため脳が覚醒を繰り返します。その結果、断片的で質の悪い睡眠となります。このようなことが昼間の情緒不安定、多動、協調性のなさ、怒りっぽい、授業中の居眠り(学力の低下)など原因なることもあります。

また、長い間、睡眠中に体が低酸素にされされると心臓に大きな負担となり(心臓病)、異常呼吸により肋骨や胸骨の変形が起きることもあります(漏斗胸)。成長ホルモンは睡眠が深くなったときに分泌されるため、眠りが浅いと成長ホルモンの分泌が障害され、低身長の原因ともなります。さらに乳幼児突然死、頭痛、胸焼け(胃液の逆流)、夜泣きや夜尿などにも関係しているともいわれています。一般的な治療法は、原因となる扁桃の摘出やアデノイドの切除が勧められ、小児の場合は成人に比べて手術による改善率が高いといわれています。通常、1時間中に換気停止状態が平均5回以上存在すれば睡眠時無呼吸症候群とされますが、診断には自覚症状や身体所見の評価、終夜睡眠ポリグラフ検査などを総合的に判断することが重要で、専門医の受診が必要です。



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