健診でアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎を指摘されました               どのようにしたらよいですか
学校での耳鼻咽喉科に関する話題

2012.10.12更新

以下の文章は、院長が大阪市学校保健会発行の「学校保健タイムス」に記事として執筆したものです。

 学校健診でアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎を指摘されたが、ときどき鼻水が出ているぐらいなので、どのように対処したらよいか迷われる場合が結構あるようです。いずれも鼻づまりを引き起こしますが、子どもの場合、特に慢性的な鼻づまりがあっても、慣れてしまうと、積極的に自分から鼻づまりを訴えることが少ないようです。鼻づまりは、睡眠障害の原因にもなり、昼間の集中力不足、眠気を引き起こします。

 アレルギー性鼻炎には、花粉症に代表される季節性のものと、ダニやほこりが原因となる通年性のものがあります。学校健診の時期にはまだ、スギ・ヒノキの花粉症が治まっていない場合があります。季節性のものであれば、その時期にきちんと対応すれば、他の季節は特に治療の必要はありません。しかし、十分な治療が行われていないと、アレルギー性鼻炎だけでなく、副鼻腔炎を併発している場合もあり、この場合は、季節が過ぎても鼻症状が治まらないことになります。通年性の場合は、1年を通じて症状が出ますが、その強さには波があり、必ずしも、年中、薬を飲み続けるのではなく、その時の状態に合わせた治療を行っていくことになります。このようなことも、症状や鼻の所見を見ながら、専門医と相談しながら治療を行っていく必要があります。

 副鼻腔炎の場合、鼻水は前に垂れてくるだけでなく、後ろからのどの方に流れていきます。後鼻漏といわれるものですが、これがあると、慢性の咳、痰やのどの違和感、咳払いなどが起こることがあります。鼻の症状が、強くないときには、これら、のどの症状が目立って、副鼻腔炎が見逃されている場合もあります。また、副鼻腔炎は鼻と耳をつないでいる耳管の機能を悪化させ、鼓膜の奥の中耳に水がたまって聞こえが悪くなる、滲出性中耳炎を引き起こすこともあります。この中耳炎は痛みを伴うことが少ないので、子どもからの訴えが少なく、知らないうちに聞こえが悪くなっていたということもあります。そのほか、副鼻腔炎が慢性の頭痛の原因になっていることもあります。

 このように、普段の鼻の症状が目立たなくても、隠れた症状があったり、他の症状の原因になっていたり、合併症を引き起こすこともありますので、きちんと診断を受ける必要があります。アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎とも短い期間で治癒することが少ないので、治療が長期にわたることも多いのですが、医師と相談しながら、根気よく治療することが重要です。



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